えー、モニターの前で「なんですか、それ?」という顔をしているのが目に浮かぶようです。
無理もありません。ただでさえヒューマンというマイナー会社の作品、おまけにヒューマンは翌年倒産の憂き目に合い、まさに幻のソフトになったといっても過言ではないでしょう。
同じヒューマンのアドベンチャーでもクロックタワーやトワイライトシンドローム、御神楽少女探偵団などは会社当産後もシリーズは引き続き作られていたのですが(クロックタワー3はカプコン、トワイライトシンドローム〜再会〜はスパイク、新御神楽少女探偵団はエルフからそれぞれ発売)本作は結局なんの続編も発表されぬまま、今日では中古ショップのワゴンで1,000円以下で売られている始末。
では、これはおもしろくないのか? 私はこの問いについては断然NOです。では、その魅力について語っていきましょう。
この分類にあてはめると、この作品は「アクションAVG」に当てはまります。とはいえ、バイオシリーズのようにバトルがあるわけでも何かえらいものから逃げるわけでもありません。このゲームはリアルタイムで動く3Dフルポリゴンの街の中で殺人事件の捜査をするという画期的なゲームなのです。
散々褒めちぎってきましたが、欠点が無いわけではありません。というよりはパッと見には 欠点のほうが多いような気すらします。 問題となるのはまずグラフィック。 あきらかにポリゴンが欠けております、ええもうそりゃバリバリと。視点は360°回転できるんですが、そのおかげで建物の中で座っている人なんかが見えると、いたたまれない気持ちになります。 劇中はクリスマスということで天候によっては雪も降ることがあるのですが なにも建物の中まで降らさなくても さらには、荒いポリゴンで描かれた人物たちは、クリーチャーにさえ見えます。手足はまるで棒!
捜査を進めていると、ときどきミニゲームが挿入されるときがあります。その種類は豊富で、熊相手のガンシューティング、不良相手の対戦格闘、メタルギアばりの尾行、そして極めつけは犬からの逃亡です。
どれもこれも中途半端な出来でおよそモチベーションがあがりませんが(それでも熊シューティングは簡単だし、格闘は間合いを測って戦うのが一応の戦略性があります)、犬からの逃亡はシュールさ、難易度で他と比べ群を抜いています。
高速でかっとんでくる犬、あきらかにレスポンスの遅い主人公、数回噛み付かれればやり直し。ここで何度やり直したことでしょう。
たしかにマンネリしがちな捜査ですが、打開策が常軌を逸しています。
結局、このゲームはリアルタイムでの犯罪捜査という画期的なアイディアと優秀なシナリオ、複雑に絡み合った真相といった理想を持ち合わせつつも、それを万人に見せるだけの技術力がなかった悲劇の作品ではないかと思います。
グラフィックという問題がありながらも(操作性もだが)それを補うだけの魅力は十分にあると思います。海外のサスペンス、警察小説好きで忍耐力がある人には是非やってもらいたい一作です。
おそらく、このゲームの元になったのはキャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』という海外ミステリではないでしょうか。アメリカの田舎町でクリスマスに少女が失踪という点だけと言われればそうなんですが……。雰囲気は十分似ているのではないかと。
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